毎月第2金曜日の夜に開催しているこすぎの大学ですが、11月4日(土)にセンサリーマップ作りの課外授業を開催しました。
明治大学理工学部建築環境計画研究室との共催。センサリーマップ作りは、新城小学校や東住吉小学校でも実施されています。
【日時 】2023年11月 4日(土)13:00-16:30
【場所 】なかはら障害福祉施設ひらま|相談交流ひらま
【先生役】明治大学理工学部建築環境計画研究室(上野ゼミ) 上野佳奈子さん、志水祐貴さん
橋口亜希子個人事務所 橋口亜希子さん
【参加者】22名
⚫︎概要
普段まち中を歩いていても特段気にならない音や光。そのような要素に対して過敏さがあり、外出時に困りごとを抱える人がいることを知っていますか。川崎市(鹿島田周辺)にあふれる音や光などについて調査し、感覚の面からユニバーサルデザインについて考えてみましょう!
⚫︎テーマ ・コンセプト
見えにくい障害がある人にとって暮らしやすいまちのありかたを考える
⚫︎背景・目的
ユニバーサルデザインに基づく社会の実現へ向け、視覚・聴覚等の感覚に過敏さがある発達障害者など、見えにくい障害のある人にとっても暮らしやすいまちづくり(ハード面)が求められています。感じ方の違いについて考えるワークショップを行うことで感覚特性の多様性の理解を促進し、心のバリアフリー(ソフト面)及び合理的配慮の普及の一助とすることを目指します。
⚫︎当日の流れ
1. イントロダクション
2. 講義|発達障害者の特性などの話、感覚過敏の疑似体験 など
3. グループワーク|着眼点や行き先を検討
4. フィールドワーク|鹿島田駅周辺を調査・体験
5. グループワーク|センサリーマップ作り
6. 全体共有|マップの発表
7. グループワーク|暮らしやすいまちの実現に向けて
8. 全体共有
9. クロージング
東住吉小学校での授業風景
新城小学校での授業風景
第132回「こすぎの大学〜川崎でセンサリーウォーク〜」のサマリー動画です。(2分30秒)
毎月第2金曜日の夜に開催しているこすぎの大学ですが、昨日(11/4)はセンサリーマップ作りの課外授業を開催しました。
先生役は、明治大学理工学部建築環境計画研究室(上野ゼミ) 上野佳奈子さん・志水祐貴さん・ゼミ生のみなさん、橋口亜希子個人事務所 橋口亜希子さん。
センサリーマップ作りは、明治大学の協力によって新城小学校や東住吉小学校でも実施されており、先日はかわさきSDGs大賞2023で、新城小学校での取り組みが優秀賞・かわさき市民活動センター賞を受賞しました。
そんなセンサリーマップ作りの授業風景をお伝えします。
まずは、今回の課外授業を企画してくださった明治大学 上野ゼミのみなさんです。多くのゼミ生が丁寧に生徒役である参加者の方々をサポートしてくれました。
まずは橋口亜希子さんから発達障がい者などの感覚過敏の特徴や困り事に関する説明。私たちにとっては日常の風景(音・光・触覚など)においても感覚過敏の方々にとっては苦痛になる場合もあるし、苦痛によって過剰に反応してしまうことがある。その苦痛が原因で外出を控えるようになる。これは当事者に加えて、当事者の親にとっても困り事。
このような困り事を解決するためのアプローチがユニバーサルデザイン。TOKYO2020を契機に広がったと思われる取り組みですが、現状はまだまだ始まったばかりの段階。今回のワークショップやフィールドワークを通じて私たちの意識変容・行動変容が社会を変えていくのだと感じました。
橋口亜希子さんから感覚過敏の特徴や困り事などの説明後、明治大学の学生たちがファシリテートして感想や気づきを共有。感覚過敏を疑似体験するために踏切の音などを大きな音量で流しながらの対話。踏切の音が気になって相手の声が聞きづらい不快感…。
感覚過敏の疑似体験後は、実際に鹿島田駅周辺を歩いてのフィールドワーク。わずかな秋風と鳥の鳴き声。心地よい感覚。フィールドワークでは気になる音や光に加えて、私たちにとってプラスの感覚も共有しました。
鹿島田駅周辺を歩いてのフィールドワーク。商店街に入ると共にスピーカーから流れ始めた音楽。ここから商店街なんだと気づくと共に軽やかな音楽で楽しい気持ちになります。一方で、オートバイの騒音やパチンコ屋のドアが開いた瞬間の騒音や独特の臭いも気になります。感覚過敏でない私たちにとっても気になる環境。感覚過敏の方々は、さらに気になるんでしょうね。
フィールドワーク後は、街中で気になった箇所の状況を地図に反映してセンサリーマップを作成しました。光、音、その他の感覚ごとに街を感覚で可視化していきます。
各グループで作成したセンサリーマップからの気づきを全体で共有。中学生も参加してグループを代表しての発表。そして、各グループからの発表に、一つひとつ丁寧にフィードバックする明治大学の学生 志水祐貴さん。センサリーマップを通じて人に優しい社会の実現を目指している姿勢や人柄を感じます。人に優しくできる人が、優しい地域・優しい社会を創れるんでしょうね。
各グループが作成したセンサリーマップの発表後には、明治大学 教授 上野佳奈子さんから今日の振り返りと共に、感覚に優しい社会生活環境の普及に向けた取り組みや事例を紹介。新城小学校などでセンサリーマップづくりに取り組んでこられましたが、これまでは屋内が対象だったとのこと。今回の街を散策してのセンサリーマップづくりの成果を来年2月(または3月)のこすぎの大学でご紹介していただきます。みなさん、楽しみにしていてください。
3時間半の授業の最後に参加者のみなさんから気づきや感想を発表。各グループからの発表に、橋口亜希子さんからユニバーサルデザインの視点からフィードバック。小さな気づきへの小さなアクションがより良い社会を実現する大きな力になるとの話。より良い地域を実現するには、その地域に住む人たちが取り組まないと自分事にならないし、持続可能な取り組みにならないとのこと。今回、こすぎの大学でセンサリーマップづくりを実施したことの意味を大切にしていきたいと思います。